目の下のくぼみとほうれい線ができる理由(中顔面の老化)

雑誌D&PSの2025年2月号に掲載された、私のコラム全文です。

若い顔はV字に近い卵型で、年齢を重ねると下方へ広がるハの字型になることは、否定できません。韓国初の宇宙飛行士イ・ソヨン博士は、無重力状態で韓国人宇宙飛行士の顔がどう変わるかを研究しました。無重力では、典型的な四角い顔が、比較的卵型に近づいていました。顔の老化には、長年にわたって受ける重力の影響が大きいということです。

図1.重力の影響による顔の変化。

目の下のくぼみ・クマと、下まぶたの老化の原因

目の下は、顔の印象を左右する重要な部位の一つです。顔の加齢変化の中でも、特に女性が「老けて見える」と最初に気にすることの多い場所です。ほかの部位にはあまり関心のない成人男性でも、まぶたの下垂や目の下の老化については、手術を含めて積極的に治療を受ける傾向があります。

下まぶたの厚さは、全体で約0.5㎜です。上まぶたも下まぶたも、真皮のコラーゲンやヒアルロン酸の減少による変性が、大きく現れる部位です。下まぶたが加齢変化を受けやすい主な理由は、その構造にあります。皮膚そのものの老化に加え、目を横方向に支える眼瞼靭帯の緩み、眼輪筋の弛緩や過度の緊張、目の下の脂肪を包む眼窩隔膜の緩みなどが起こります。

図2.中顔面の老化の特徴。下まぶたと頬の境界の下降、目の下の溝の形成、頬部脂肪体の下垂、頬骨上の袋状のたるみ、ほうれい線の深まりなどがみられます。出典: https://plasticsurgerykey.com/midface-lift.

目元を支える構造も重力の影響を受け、まぶたが緩みます。その評価には、スナップバックテストやディストラクションテストを使います。加齢で、支えとなる靭帯が緩み、眼輪筋も厚くなります。下まぶたの老化を構成するのは、眼窩脂肪の突出、目の下の溝に関わる支持靭帯の影響、起こりやすい眼瞼浮腫、そして眼輪筋の肥厚です。

下まぶたは三つの層からなります。皮膚と眼輪筋による前葉、眼窩隔膜による中葉、瞼板と結膜による後葉です。眼窩隔膜は、眼窩縁のarcus marginalisから始まり、瞼板の下縁に付着します。眼窩脂肪は隔膜の後ろにあり、SOOF(眼輪筋下脂肪)は、眼輪筋の眼窩部よりやや深い位置にあります。SOOFは眼窩下神経を境に中央と外側で厚く、内側では非常に薄くなっています。加齢とともに眼輪筋とSOOFは主に下外側へ下がり、頬骨上のふくらみや袋状のたるみをつくります。下まぶたの老化も、コラーゲンの破壊、筋緊張の低下、脂肪の配置の変化など、上まぶたと基本的な仕組みは共通しています。ただし、眼輪筋を固定する内外の眼角靭帯や、ゴルゴライン、目の下の溝に関わる支持靭帯も考慮する必要があります。クマとして見える静脈血の色や、この部位に生じやすい肝斑など、メラニンの影響も合わせて確認します。

下まぶたの立体的な形には、脂肪や支持靭帯だけでなく、目元に多いリンパ液も影響します。リンパ液の貯留によるふくらみは、同じ日の中でも大きく変化するのが特徴です。目の下の脂肪除去、脂肪再配置、下眼瞼手術、フィラー注入、脂肪移植などを受けた後に、一日の中で程度が変わるむくみが生じることがあります。その場合は、施術や手術によって、目の周りのリンパの流れが圧迫されていないかを確認する必要があります。

下まぶたは血管が多く、皮膚も薄いため、血液中の色素によって暗く見えることもよくあります。暗い色はくぼんで見えるので、透ける血管で暗くなった下まぶたも、くぼんだ印象になります。

目の下のくぼみを理解するための解剖

目の周りでも、動脈、静脈、神経は、同じ、または近い経路を通る傾向があります。眼窩上動静脈・神経、滑車上動静脈・神経などがその例です。近年、目元へのフィラー注入後に失明した症例が報告され、眼動静脈や海綿静脈洞につながる血管構造への関心が高まっています。特に、比較的太い眼角動静脈の周囲にフィラーや脂肪を注入する際は、失明の可能性を常に念頭に置き、慎重に行う必要があります。

目元は血管が豊富で、手術や外傷後の治癒が比較的早く、強い傷跡が残ることはまれです。ただし上まぶたは、頻繁な開閉と皮膚の張力によって、上眼瞼挙筋側の傷が開き、傷跡が強くなることがあります。下まぶたはその負担が少なく、術後の傷跡が残る可能性は非常に低くなります。一方、皮膚が薄く、その直下に血管が多いため、外傷や手術後の色素沈着は起こりやすい部位です。

顔の脂肪は、加齢で減ったり、重力で下がったりする傾向があります。ところが下まぶたは、脂肪が減るよりも突出し、増えたように見えます。これは、ほかの部位のような皮下脂肪の変化ではありません。眼輪筋と眼窩隔膜の後ろにある眼窩脂肪が、緩んだ隔膜を押して前へ出ているのです。下まぶたの皮膚の下には皮下脂肪がなく、眼瞼部の眼輪筋は皮下組織と明確に分かれていません。目の下の脂肪は、眼輪筋の下、眼窩隔膜の後ろにあります。眼輪筋が眼瞼部へ移る位置では、前方のsupraorbital fatと、筋の後方のSOOFが、前後に位置しています。

下まぶたの老けた印象には、眼輪筋保持靭帯、涙溝靭帯、頬骨皮膚靭帯などが深く関わります。目の下や中顔面の老化は、よく「丘」と「溝」にたとえられます。丘にあたるのは、下まぶたのふくらみ、頬骨上の膨らみ、頬部脂肪体などです。溝にあたるのは、鼻頬溝と眼瞼頬溝からなる目の下の溝、いわゆるゴルゴライン、ほうれい線などです。目の下のくぼみが最も気になる方もいれば、ゴルゴラインとほうれい線の間の頬部脂肪体の突出や下垂を気にする方もいます。これらの丘と溝をつくる重要な構造が、眼窩周囲の支持靭帯や頬骨皮膚靭帯です。

図3.ほうれい線の位置によって異なる解剖学的構造。

ほうれい線の三つのタイプ

ほうれい線を上へ引き上げ、笑顔をつくる中顔面の筋肉は4つ、口角とフェイスラインを下へ引く筋肉は3つ、あご先を上げる筋肉は1つあります。加齢とともに、口角やフェイスラインは下がり、あご先は前へ出る傾向が生まれます。ほうれい線の最も深い層には深部脂肪があり、その上を表情筋がさまざまな方向に走っています。頬骨の下は広い空間で、筋肉が多様な角度で付着しています。その上には浅い脂肪があります。主に関わる筋肉は、上唇鼻翼挙筋、上唇挙筋、大頬骨筋、小頬骨筋です。

一つ目は、部位ごとのボリューム差から生じるタイプで、小鼻の横のボリュームが不足している場合です。土台の上顎骨の犬歯窩がくぼみ、ほうれい線の上には鼻唇部の脂肪がふくらんでいる一方、線の下、小鼻の横にはもともと浅い脂肪がほとんどありません。

二つ目は、加齢による軟部組織の下垂で生じるタイプです。線より下の上唇の皮膚は、口輪筋に比較的しっかり付着しているため、たるみにくくなっています。一方、線より上の皮膚や組織の結びつきは比較的緩やかです。年齢とともに前頬部の浅い脂肪が大きくなって下がると、固定された上唇の皮膚に重なります。このタイプに線に沿ってフィラーを注入すると、下へ広がれず、上側にだけ移動することがあります。結果として線の上がさらにふくらみ、ほうれい線がかえって目立つ可能性があります。

三つ目は、頬骨から口角を引き上げる筋肉が下方へ移動し、浅い位置を走ることで、鼻唇部脂肪の下縁より下の皮膚を引き込むタイプです。上唇鼻翼挙筋、上唇挙筋、大頬骨筋、小頬骨筋などが関わります。

(次号に続く)

掲載誌面を見る

D&PS 2025年2月号 チョ・チャンファン院長のコラム 1
D&PS 2025年2月号 チョ・チャンファン院長のコラム 2
D&PS 2025年2月号 チョ・チャンファン院長のコラム 3

執筆:ドンアン中心クリニック 医師

あなたに合う施術を、院長が直接診察してご提案します

金曜日は21時まで、土曜日も診療しています。

カウンセリング予約