高周波リフトと超音波リフトはどう違う?(EBDの進化Ⅵ)
雑誌D&PSの2024年11月号に掲載された、私のコラム全文です。
高周波機器は、大きく3種類に分けられます。二つの電極間に電流を流すバイポーラRF、チップから流した電流を別の部位の皮膚に貼った対極板を経由して機器に戻すモノポーラRF、そして伝導方式ではなく、電磁場をつくって使うユニポーラRFです。安価な機器や家庭用の高周波機器では、十分な出力を得られないものも少なくありません。コストを抑えるために安全機構を省き、出力だけを上げると、高周波の性質上、接触不良などで火花が飛ぶリスクも高まります。
高周波でコラーゲン生成を促すには、何度の熱が必要?
高周波で皮膚のコラーゲン生成を促す機器に共通する式は、「E=(I/A)2×Z×t」です。Eは組織に蓄積するエネルギー、Iは面積Aを通る電流、Zは組織のインピーダンス(交流電流に対する抵抗)、tは電流が流れる時間を表します。
この式で温度上昇を左右する重要な要素の一つが、組織の抵抗、つまりインピーダンスです。組織を構成する物質の影響が大きいものの、温度によっても変化します。モノポーラRFなどの非剥離型タイトニング機器で、コラーゲン線維の即時的な構造変化と長期的な生成を促す目標温度は45〜65℃です。赤外線温度計で測る皮膚表面の温度は、施術中に40〜42℃以上を保つのが適切です。この温度管理で注目するのは、コラーゲンのリモデリングによる組織収縮、脂肪細胞の破壊、そして神経損傷です。主な使用温度を45℃とする機器は、組織の引き締めには45℃で2分30秒、脂肪細胞の破壊には約5分の照射を推奨しています。いずれの場合も、神経損傷を起こす温度と時間の組み合わせは避けなければなりません。50℃で1分の加熱が、43℃で10分の加熱と同じ効果を示すという研究もあります(Dewhirst、2003)。
高周波は、もともと悪性肝腫瘍などのがん細胞を熱で壊す研究から発展しました。組織に高周波を流すことで、水分子の摩擦による熱が発生する仕組みや、温度に応じた組織の反応は、「Essential Techniques for Successful Radio-frequency Thermal Ablation of Malignant Hepatic Tumors」などの研究によって明らかになり始めました。
モノポーラRFを用いたある研究では、TGF-β1とHSP72が施術直後と7日目に増加し、HSP47は30日以降に明らかに増えました。TGF-β1は組織へのコラーゲン蓄積を促し、線維芽細胞や筋線維芽細胞の分化を助け、コラーゲン分泌を促進します。HSP72は熱刺激から細胞を守り、HSP47はコラーゲンの合成で重要な役割を担います。
Ⅰ型・Ⅲ型コラーゲンはいずれも、モノポーラRFの施術後7日目と30日目に発現が増加しました。Ⅰ型は哺乳類の結合組織で最も多く、創傷治癒の最終段階でつくられるものです。Ⅲ型は、その前に生じる肉芽組織を代表するコラーゲンです。両方の増加は、肌のボリューム、強度、活力が継続して改善することを示しています。2014年のYokoyamaらの研究でも、同様の結果が得られました。HE染色では、施術の1か月後と3か月後に、真皮のコラーゲン生成が増えていることが確認されています。
高周波の施術後は、まず熱によってコラーゲンが急速に収縮し、その後約4週間にわたり修復・再生の反応が起こります。3か月以降には、表皮突起の発達とともに表皮が厚くなる様子がみられます。紫外線損傷による弾性線維変性や真皮の変性物質も減り、新たにつくられるコラーゲンの量は施術直後より大きく増加します。コラーゲン新生は6か月後まで続き、損傷したコラーゲンは50%減少します。
モノポーラRFによるリフトアップの仕組み
モノポーラRFは、単極性の容量結合型高周波エネルギーを用います。皮膚表面を守りながら、どのように真皮の深部までエネルギーを届けるのでしょうか。よく使われる「volumetric heating」は、一定の体積の組織全体に、高周波エネルギーを同時に伝えることを意味します。真皮に届く量は、チップの大きさや形、組織の伝導特性によって変わります。電極は治療チップの内側にあり、通電すると、電極と皮膚表面の間が蓄電器のように働いて、チップ表面全体に安定した電磁場が生まれます。高周波は、周波数が高くなるほど、伝導的な性質よりも誘電的な性質が強くなります。
モノポーラRFの治療中、電磁場の極性は1秒間に600万回(6㎒の機器の場合)切り替わります。この変化が極性を持つ分子を動かし、組織内に電流を生じさせます。電流は真皮のコラーゲン構造や、その下の線維性隔壁など、親水性の組織を通りやすく、皮下脂肪には流れにくい性質があります。こうした加熱では、初めはコラーゲン新生が促されますが、温度が高すぎると、規則的な結晶構造が崩れ、無秩序なゼラチン状に変わります。
2002年、THERMAGE(当時の名称はTHERMACOOL)が、モノポーラRF機器として初めて美容目的のFDA承認を受けました。2003年にはFitzpatrickらが、眼周囲の組織の引き締めを目的に、モノポーラRFによる顔の若返り効果を検討した臨床論文を発表しました。この研究で使われた眉のリフトアップの比較方法は、その後多くの教科書で引用され、機器による顔のリフトアップ研究の標準になりました。続いてJavier, Ruiz-Esparzaの「The Medical Face Lift」(2003)、Michael Fritzの「Radiofrequency Treatment for Middle and Lower Face Laxity」(2004)などが発表され、適応は顔全体へ広がりました。
Zelickson, Brian Dらは、2004年の「Histological and Ultrastructural Evaluation of the Effects of a Radiofrequency-Based Nonablative Dermal Remodeling Device」で、新しいモノポーラRF機器の組織学的効果を示しました。ウシの腱とヒトの皮膚のコラーゲンへの影響を、組織所見から調べた論文です。Lack, Edward Bらは「Relationship of Energy Settings and Impedance in Different Anatomic Areas Using a Radiofrequency Device」(2005)で、インピーダンスは患者ごと、顔の部位ごとに異なると報告しました。平均値の順序は、低出力では頬骨→頬部脂肪体→額、高出力では額→頬骨→頬部脂肪体でした。Finzi Ericらは「Multipass Vector(mpave) Technique with Nonablative Radiofrequency to Treat Facial and Neck Laxity」で、複数回の照射を方向づけて行う方法の有用性を示しました。Kushikata, Nobuharuらは「Is Topical Anesthesia Useful in Noninvasive Skin Tightening Using Radiofrequency」(2005)および「Non-ablative Skin Tightening with Radiofrequency in Asian Skin」で、アジア人に対するリフトアップ効果を検討しました。Biesman, Brian Sらは「Monopolar Radiofrequency Treatment of Human Eyelids : A Prospective, Multicenter, Efficacy Trial」で、まぶたへの施術方法を紹介しています。
顔や首の若返りを目指す場合、全体を一度に治療する方法と、美容上の単位ごとに分ける方法があります。上まぶたの改善には、額、上まぶた、こめかみを合わせて治療するとよいでしょう。目元全体を改善するには、眼窩の縁を越えて、まぶたから頬骨の1〜2㎝下までを含めます。ほうれい線や口角から下のしわの1〜2㎝外側までを対象にすることもあります。首を効果的に治療するには、フェイスラインの2㎝上まで含めるほうがよいとされています。
Weiss, Robert Aらの「Monopolar Radiofrequency Facial Tightening : A Retrospective Analysis of Efficacy and Safety in Over 600 Treatments」では、初期の1回照射(シングルパス)では下顔面の有効率が約20%だったのに対し、複数回の重ね照射に変えると80%に改善したと報告されています。600症例中の副作用17件も記載されています。90%の患者では紅斑が5〜20分以内に消え、5%では24〜72時間続きました。30%の患者では、24時間以内に治まる軽い顔面浮腫などがみられました。6人は最長1週間、別の2人は1〜2週間、浮腫が続きました。38%の患者が痛みを訴えましたが、48時間以内に治まりました。
4㎜の線状の浅いかさぶたは1週間以内に治癒し、頬の軽いくぼみは3.5か月の間に自然に回復しました。3日以内に現れて10日以内に自然消退した、ニキビ様の皮下の赤い丘疹が3件、紅斑が1件報告されています。また、3人に1〜4週間の首の痛みがありました。施術中の痛みを抑えるため、4%リドカインクリーム(LMX4, FerndaleLabs, Ferndale, MI)、または4%テトラカイン+1%リドカインクリーム(Lasercaine, Boswell West Pharmacy, Sun City, AZ)を塗布し、バルデコキシブ20〜40㎎、ジアゼパム5〜10㎎、アセトアミノフェン500㎎とオキシコドン5㎎の配合剤などを服用させていました。
モノポーラRFとコラーゲンの再生
大規模な症例研究としては、Dover, Jeffrey Sらの「Results of a Survey of 5,700 Patient Monopolar Radiofrequency Facial Skin Tightening Treatments : Assessment of a Low-energy Multriple-pass Technique Leading to a Clinical End Point Algorithm」(2007)があります。5,700症例から、低出力で複数回照射する新たな指針の臨床的な有用性を示しました。Kist, Davidらは「Ultrastructural Evaluation of Multiple Pass Low Energy Versus Single Pass High Energy Radio-frequency Treatment」(2006)で、高出力の1回照射より、低出力の複数回照射でコラーゲン生成が多いことを、組織学的に示しています。Yokoyamaらは「Histologic Study of Collagen and Stem Cells After Radiofrequency Treatment for Aging Skin」(2014)で、施術後のⅠ型・Ⅲ型コラーゲンの増加を確認しました。Suh, Dong Hyeらは「Comparative Histometric Analysis of the Effects of High-intensity Focused Ultrasound and Radiofrequency on Skin」(2015)で、モノポーラRFはHIFUよりも乳頭真皮のコラーゲンやエラスチンを有意に増やすことを示しました。Javier, Ruiz-Esparzaは「Nonablative Radiofrequency for Facial and Neck Rejuvenation. A Faster, Safer, and Less Painful Procedure Based on Concentrating the Heat in Key Areas : the Thermalift Concept」で、重点的に治療する部位を選ぶ基準を提案しています。78歳の女性が1回の治療で14か月効果を維持した例を報告し、首は下顎角と後外側の生え際を治療することで改善できると説明しました。
Semchyshynらは「Does Laser Inactivate Botulinum Toxin?」で、ボツリヌストキシン注射後にモノポーラRFを行っても、効果に影響しないと報告しました。フィラー注入後の施術に関する研究には、「Effects of Monopolar Radiofrequency Treatment Over Soft-tissue Fillers in an Animal Model : Part 1」(2005)と、「Effect of Monopolar Radiofrequency Treatment over Soft-tissue Fillers in an Animal Model : part 2」(2006)などがあります。Alamらは、モノポーラRFとヒアルロン酸フィラーの関係を調べました。フィラー注入後に高周波を照射しても、フィラーの減少などの悪影響はなく、肌全体の引き締めには併用が役立つ可能性があると報告しています。
高周波を照射した群では、照射しなかった群よりコラーゲン生成が多かったものの、統計的に有意な差ではありませんでした。高周波は、フィラーに対するコラーゲン反応や持続期間に悪影響を及ぼさず、注入後の意図しない熱損傷のリスクも高めませんでした。
Sasakiらは「Clinical Parameters for Predicting Efficacy and Safety with Nonablative Monopolar Radiofrequency Treatments to the Forehead, Face, and Neck」(2007)で、治療に反応しない患者の要因を解析しました。反応する群としない群では、年齢、皮膚の厚さ、脂肪の厚さに差はなく、組織の可動性のスコアと、しわや溝の深さに差がありました。
Suh, Dong Hyeらは「Monopolar Radiofrequency Treatment in Asian Skin : A Questionnaire-based Study」(2011)で、美容医療に従事する医師を対象に、反応性を左右する要因を調査しました。最も影響する二つの要因として、皮膚の厚さと、たるみ・しわの程度が挙げられました。2020年の「A Survey on Monopolar Radiofrequency Treatment : The Latest Update」でも再調査を行っています。首やお腹への施術が多く、1回で終えず、定期的に繰り返す傾向がみられました。大半が5回以上、11回以上継続している患者も20%近くいました。同じ研究チームは、2013年の「Monopolar Radiofrequency Treatment in Asian Skin : Do Multiple RF Treatments Over Time Have Beneficial Effects? An Observational Report with Long-term Follow-up in Eight Patients」で、2004年から2010年に定期的な施術を受けた患者と、受けなかった患者の顔写真を比較しました。長期にわたり継続した患者では、若々しい顔の状態が長く保たれていました。
図1.ウシの腱。A:対照標本の横断面。正常なコラーゲン細線維がみられます。B:対照標本の縦断面。正常なコラーゲン細線維がみられます。C:高周波(RF)照射後(500 J、中程度の冷却)の、表面から0〜1 mmの標本。大きな矢印は、電子密度と明瞭な境界が失われた、部分的に変性した細線維の横断面を示し、小さな矢印は正常な細線維を示します。D:RF照射後(500 J、中程度の冷却)の、表面から0〜1 mmの標本。大きな矢印は、正常に見える領域と、電子密度や明瞭な境界が失われた部分的変性領域との境界にある、細線維の縦断面を示します(元の倍率×17 280)。スケールバーは300 nm。出典:Histological and Ultrastructural Evaluation of the Effects of a Radiofrequency-Based Nonablative Dermal Remodeling Device, Brian D. Zelickson ほか, Arch Dermatol. 2004;140(2):204-209. doi:10.1001/archderm.140.2.204.
高周波リフトには、どんな種類がある?
バイポーラRFでは、主に二つの電極間を電流が流れます。そのため、真皮より表皮にエネルギーが集中し、効果が低く、表皮の熱傷リスクが高いという課題があり、改善に向けた研究が行われてきました。一般に、到達深度は電極間隔の約50%、実際にコラーゲンの変性がみられる深さは電極間隔の10〜20%ほどでした。対策として、表皮を事前に冷却して伝導度を下げ、真皮に電流を流しやすくする方法や、ダイオード光で真皮を予熱し、抵抗を下げる方法が試されました。陰圧で皮膚を吸引する方式も登場しています。組織を吸引した状態で高電圧パルスを流し、脂肪細胞への損傷を増やす製品も紹介されました。
図2.コラーゲンの分子構造。出典: https://scienceon.kisti.re.kr/commons/util/originalView.do?cn=TRKO202000002637&dbt=TRKO&rn=&page=3&keyword=undefined.
2009年には、韓国でニードルRFという新しい方式が登場しました。フラクショナルRFは、複数の小型電極を備えるバイポーラRFの一種で、主にハリ、キメ、肌色、しわ、毛穴の改善に用いられます。ニードルRFは、韓国の複数の美容医療機器メーカーが、MTSと高周波の利点を組み合わせて開発しました。針とレーザーを組み合わせる案もありましたが、細い針の中にレーザーファイバーを入れるには限界がありました。ニードルRFは、針が組織に入る方法によって特徴が大きく変わります。韓国で初めて研究・開発された機器は、皮膚のたるみを改善し、二重あごを整える治療で良好な臨床結果を示しています。SCARLET(現在のSYLFIRM X)などが代表例です。
ウルセラなどの超音波リフト(HIFU)の発展
診断用の超音波機器は、通常1㎒から15㎒の周波数を使います。周波数、つまり振動数が高いほど分解能は上がり、到達深度は浅くなります。特定の媒質、すなわち組織の中を伝わる超音波の速度は一定です。圧電効果とは、結晶を一方向に圧縮・伸展すると、一方に正(+)、他方に負(−)の電荷が生じ、電流が流れる現象です。逆圧電効果は、結晶に交流を流すことで収縮と膨張を繰り返させ、機械的な振動によって超音波を発生させる現象です。超音波は、分子が密集する圧縮部と、まばらになる希薄部を繰り返しながらエネルギーを伝えます。横波は進行方向と垂直に、縦波は進行方向と同じ向きに振動する波です。液体や空気中では横波は生じず、体内の超音波は主に縦波として伝わります。
HIFUは1990年代から前立腺がんや乳がんなどの治療に使われ、その後、脂肪細胞を破壊する目的でも研究されました。その過程でリフトアップ効果が見つかり、顔の治療機器の開発につながりました。ULTHERAは、もともと泌尿器科で前立腺腫瘍を凝固させるために用いていたHIFUを、脂肪の減少に応用しようと研究・開発された機器です。しかし脂肪減少の効果は臨床上明確ではなく、代わりに、たるんだ皮膚の筋膜や皮下組織の弾力が改善したため、リフトアップ機器として使われ始めました。従来の高周波が皮膚の各層を通ってエネルギーを伝えていたのに対し、HIFUは皮膚を傷つけずにSMAS層に熱を届け、収縮・引き締めを起こすという概念を打ち出しました。
ULTHERAは2009年に眉のリフトアップでFDA承認を受け、2012年にはあごや首のしわ、2014年には鎖骨・胸元(デコルテ)のリフトアップでも承認を受けました。韓国では、いわゆるVラインと呼ばれるシャープなあごのラインが好まれ、年齢を重ねてもすっきりした下顔面が求められます。この好みが、ULTHERAをはじめとするHIFUの世界的な流行の出発点となりました。ほかの若返り機器が、主に目元のしわやほうれい線の改善を目的に導入されたのに対し、HIFUは登場とともに「Vラインをつくる」「小顔に見える」という口コミで、患者から支持を集めました。
HIFUの普及をさらに押し進めたのが、クラシスのSHURINKです。ほかのHIFUより痛みが少なく、効果が早いという評価で、世界的に成功しました。メーカーは、高いピーク出力が痛みと効果の両面で評価につながったと説明しています。MF2カートリッジは、目元のリフトアップに適した設計です。MF6とMF9は、お腹や太ももに加え、二の腕、脇、膝、ふくらはぎ、足首などの引き締めや脂肪減少に使用できます。
HIFUの導入以来、治療を続ける中で多くの臨床ノウハウが蓄積されました。出力や深さの異なるチップを使い、組織内に熱凝固点をつくります。顔のどこに、どの深さで、どの出力を使い、何個の熱凝固点をつくるかで、効果は変わります。顔立ちによっても方法を変える必要があります。眉の下垂、目元のしわ、頬の毛穴、フェイスラインの脂肪、皮膚のたるみなど、悩みに応じた方針が必要です。
ULTHERAを開発したウルセラ社は、2008年の承認直後から、施術者向けのガイドラインを継続して更新してきました。FDA承認によって適応部位が定まり、複数の深さや方向で施術するほうがよいという比較研究も報告されました。指針が更新されるたび、推奨される照射ライン数は増えていきました。二重あごの改善で、まずよく使われる方法はHIFUの照射数を増やすことです。顔への施術では、脂肪萎縮が副作用として記録される場合があります。この現象を利用し、あご下の脂肪を減らすために密度を高めて照射する方法です。
もう一つよく行われる方法は、広頸筋の前にある皮下脂肪を、脂肪吸引などで減らした後にHIFUを施術することです。こうした流れの中、2011年にウルセラ社は顔と首の合計で504ラインを推奨し、米国の医師Sasakiは、さらに多い960ラインを提案しました。
推奨ライン数の増加に伴い、臨床では主に二つの問題が生じました。一つは施術時間の延長による痛み、もう一つは、もともと脂肪減少を目的に開発されたULTHERAを重ねて多く照射すると、脂肪が減り、かえって老けて見える可能性です。前者は、プロポフォールをめぐる問題から静脈麻酔を避ける傾向があった2010年代の韓国で、施術をためらう理由となりました。後者については、ポータルサイトにULTHERAに反対するコミュニティができ、「施術後に顔が骸骨のようになった」とする写真が投稿されたこともあります。これらを避けるため、多くの医師は出力を下げてライン数を増やし、脂肪層に影響し得る4.5㎜よりも、3.0㎜での照射を多く行うようになりました。
HIFUが機器によるリフトアップの普及を促した背景には、メーカーが詳細な施術指針を提供してきたこともあります。ULTHERAは、treatment mapと呼ばれる指針を何度も更新しています。ドット状の照射ラインを縦方向に配置すると、より大きなリフトアップ効果が得られるとした2007年の研究を踏まえ、改訂を続けてきたのではないかと考えます。
HIFUに関するさまざまな臨床研究
Lim, Adrianらの「High Speed Low-pain Micro Focused Ultrasound Tightening of the Lower Face and Neck」(2017)に示されるように、多くの臨床医は、SHURINKには確かな効果に加え、痛みや施術時間の面で利点があるとしています。Ko, EJらの「Efficacy and Safety of Non-invasive Body Tightening with High-intensity Focused Ultrasound(HIFU)」(2017)では、施術速度の速さが、時間のかかるボディの引き締めでも強みになることが示されました。Kwon, Hyuck Hoonらは「Tightening and Reduction of Unwanted Submental Fat Using Triple-layer High-intensity Focused Ultrasound : Clinical and 3-dimensional Imaging Analysis」で、あご下の脂肪減少を画像で示しています。Lio, Man-Lokらは「Quantified Facial Rejuvenation Utilizing High Intense Focus Ultrasound with Multiple Penetrative Depths」(2022)で、リフトアップ効果を客観的に評価する複数の指標を提案しました。
Oh, Won Jongらは「Effect of High-intensity Focused Ultrasound on Eyebrow Lifting in Asians」(2019)で、深さ3㎜のトランスデューサーによる目元のリフトアップ効果を示しました。Jung, Gyu Sikらは「High-Intensity Focused Ultrasound : A Satisfactory, Non-invasive Procedure for Crow's Feet Wrinkles」(2019)で、深さ2㎜が目尻のしわに有効であることを確認しています。Jeon, Hye Chanらは「A New Treatment Protocol of Microfocused Ultrasound for Lower Eyelid Fat Bulging」(2021)で、深さ2㎜が下まぶたの脂肪のふくらみに有効だと報告しました。Han, Hye Sungらは「Safety and Efficacy of High-intensity Focused Ultrasound for Treatment of Periorbital, Perioral, and Neck Wrinkles : Prospective Open Single-center Single-arm Confirmatory Clinical Trial」(2022)で、深さ2㎜による目元、口元、首のしわへの効果を示しています。SHURINKの1.5㎜チップを使った論文には、肝斑などの色素性疾患への効果を報告したものもあります。
(次号に続く)
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